実は、ラーメンマンでした。
今のブランディングやWEBマーケティングに関する仕事をする前は、ラーメン事業部の統括として2店舗を3年ほど見ていたことがあります。
社会人になってから、ずっと企画畑を歩いてきた人間が、いきなりバンダナまいて、エプロンして、味噌ラーメンをつくることになったのです。
しかも、赤字のお店を引き継ぐことに。スープ用のでかい寸胴と中華鍋を振りすぎて筋肉がついただけでなく、炭水化物の取りすぎで3カ月後には5キロ増え、1年後にはそこから10キロくらい増えていました(笑)
でも店長就任、3カ月で黒字にしましたよ!
その飲食店の経験とマーケティングの考え方を紹介したいと思います。
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デジタル時代の消費者心理とは?
ラーメンマンの経験で分かったこと、それは"ラーメンを食べているようで実は情報を食べている"です!
ラーメン、アイス、しゃぶしゃぶを食べたいわけではなく、インスタ映えするからお店にいく。食べないアイスを写真撮ったら、捨てる。
飲食店をやっていた人間からしても、相当にもったいないですし、ニュースで知った時、ショックでした。
でも、これが現実に起きていることです。
なぜ、そうなったのでしょうか。
「昭和と平成」飲食店のあり方が違う
物や情報がない時代は、外食はエンターテイメントであり、非日常体験でした。
でも、物も情報もあふれた情報爆発時代はどうでしょう。
デジタルネイティブと言われ、生まれた時からパソコン、ネット、スマホなどデジタル空間が日常生活に入り込んだ世代はもう、物も情報も満たされているのです。
食べる為ではなく、インスタの写真を撮る為に、飲食店に行く。
食べるという欲求から、別の欲求に置き換わっているのです。
このデジタルネイティブの消費行動を心理学的に考察してみました。
消費者心理を読み解くうえで、マズローのピラミッドはとても参考になります。
マズローのピラミッドで欲求を分解してみる
アメリカの心理学者のアブハム・マズローさんの人間の欲求は5段階に分けられるという有名な説があります。
大きく2つに分けられて、低次の欲求(外的に満たされたい)と高次の欲求(内的に満たされたい)です。
マズローのピラミッドの下から順に欲求が充たされていくと上の欲求へと上がっていきます。
低次の欲求
生理的欲求:本能的な欲求(食べたい、寝たい エッチしたい)
安全欲求:危機を回避したい(安全に暮らしたい)
社会的欲求:帰属欲求(仲間が欲しい、孤独は嫌だ)
高次の欲求
尊厳欲求:承認欲求(他者から認められたい、尊敬されたい)
自己実現欲求(能力を引き出し創造的活動がしたい)
よく成功した経営者がボランティア活動や社会貢献活動を始めるのは、物欲が充たされ、高次の欲求へと進化しているからです。
食べるという物欲を充たされた人たちは、社会的欲求や承認欲求を充たしたくなります。
インスタでオシャレなリア充感ある自撮りをしたり、インスタ映えする写真をインスタグラムで投稿することで、誰かに「いいね!」されたいという承認欲求を充たしたいという心理が働いているのではないでしょうか。
この段階的な欲求を飲食店のある商圏内の消費者のニーズをうまく充たしたら、繁盛店になります。
沖縄の飲食店で考えてみる
例えば、沖縄では昔は、美味しいお店を内地から持ってきても、難しいと言われました。
地元の安くて、早くて、ボリュームがあって、店内はごちゃごちゃして、寝そべってもくつろげるおばちゃんがきりもりしている、おばちゃんの食堂には勝てなかったのです。
今は、観光客も増え、移住者も増え、デジタルネイティブも増えたので、沖縄県内でも都心ではこの現象はなくなりつつありますが、田舎の方ではまだまだこのパターンだと思います。
ラーメン二郎で考えてみる
私は二郎系が大好きです。たまに、無性に食べたくなるんです。
あれは、食べるというより自分への挑戦だと思います。
二郎が凄いのは、単品メニューで、オペレーションが統一され、全マシとか野菜マシとか特別な暗号みたいなものを常連客が席に着くなり店主に伝え、ラーメンが出ると、無言でとにかくひたすら食べます。
初めてのお客さんは、もやしの盛りにびっくりします。
インスタ映えしますね。
ドキドキしながら、前の人の暗号を真似て全マシと言ってしまったら最後。極限まで自分を追い込む羽目になります。
見た目のインパクトと、高カロリーとニンニク、もやしを食べる行為と麺の触感全てが5感を通して、脳に記憶されます。
ラーメン屋をやっているときに、分かったのですが、高カロリーとにんにくは脳内麻薬を出す作用があるらしく、中毒性はここからきていると思います。
単品商品だから、席に座る前に、麺をゆでることができるので、オペレーションが非常にスムーズです。
席に着いた瞬間にラーメンが提供できる速さは行列が出来ても不満にならないポイントです。
マズローのピラミッドでいうと、食べたい欲求だけでなく、社会的欲求、尊厳欲求までも充たせる状況が二郎にはるのではないかと思います。
ただ、万人に受けるかというとそうでもないです。
好きな人と嫌いな人はっきり分かれます。
ここがターゲティングが重要なポイントになります。
メニューを増やすことはいいのか?
私も相当考えました。リピーターさんを飽きさせない為、お店の鮮度を保つ為に、ある程度新メニューも出し続けないといけません。
しかし、メニューが増えると、仕入が増え、手間が増え、結果的に利益が出にくいケースもあります。
季節感のある限定メニューと定番メニューの組み合わせが重要だと考えます。
飲食店に入って、一番困るのは、何を選んだら良いか悩むことです。
特に、券売機でやっている場合は、並んでいる後ろの人の見えないプレッシャーがあり、考える時間がなく、焦ってしまいます。
店内に入って、あっちこっちにべたべたいろんなものが貼られていると、情報が多く、決めきれないパターンに陥ります。
地元のおばちゃんの食堂であれば、これは全体の情報が一つの安心感と既存顧客の選択肢が増えて良いのですが、ターゲットと業態、立地によっては店内で発する情報の整理が必要になります。
店舗内の情報導線は戦略的に!
入口前、入口、テーブル、席から見える厨房や壁の情報など、導線と視線に沿って情報設計を行いましょう。
入口前では、入り易さ、キャッチが重要になります。
この店には自分が食べたいものはあるか?
他のお店より、ここでしか食べられないものは何か?
お店のUSP(強み・独自性)を明確にし、ターゲットに合わせた情報発信を行いましょう。
入口前には、立て看板で訴求し、食券前には、POPで訴求しましょう。
店舗のUSPと商圏内のターゲットニーズにマッチし、かつ情報設計がうまくいくと、口コミが広がり易くなります。
いくらフェイスブックやインスタグラム、ツイッターでがんばって投稿しても、店舗に独自性がなく、かつ分かりやすい言葉で紹介できないと、情報拡散は起こりません。
言葉だけでなく、最近は、写真が重要になってきます。
まとめ
- 店舗の商圏にいるターゲットのニーズを把握する
- そのニーズをマズローのピラミッドに沿って分析する
- 他店にはない独自性を明確にし、発信内容を決める
- 分かりやすく記憶に残る言葉と写真を店内導線に合わせて発信する