Webサイト制作で「とりあえずカッコよく」と頼んで失敗していませんか?本記事では、成果の出るホームページに不可欠な「目的・ターゲット・強み」の3つの準備ステップを、Web制作のプロが徹底解説。業者に依頼する前に読むことで、無駄な投資を防ぎ、問い合わせが増えるサイトを作れます。
この記事は2025年7月6日にポッドキャストにて配信した音声を元に作成してます。 ポッドキャストも合わせてお聞きください。ブログ記事の最後には3つの準備をスムーズに進めるためのタロットゲームを用意しています。遊びながら戦略を考えてみてください。
Webサイト制作で失敗する社長の共通点|業者に丸投げする前に決めるべき3つのこと
「うちのホームページ、もう何年も問い合わせが一件もないんだよね」 「Webサイトをリニューアルしたいけど、何から手をつけていいか分からない…」
経営者仲間との会話で、こんな悩みを口にしたことはありませんか?
Webサイトは、正しく使えば24時間365日、文句も言わずに働いてくれる優秀な営業マンです。しかし、多くの企業がそのポテンシャルを全く活かせず、「ただ存在するだけ」の置物にしてしまっているのが現状です。
なぜ、成果の出るWebサイトと、全く成果の出ないWebサイトに分かれてしまうのでしょうか。
2012年からWeb制作の現場にいる私が断言します。その差は、デザインでも、最新の機能でもありません。Webサイト制作を「業者に依頼する前」の準備で、実に9割が決まっています。
この記事では、あなたのWebサイト制作を成功に導くために、経営者であるあなたが絶対に決めておくべき「3つのこと」を、具体的なステップに沿って徹底的に解説します。
この記事を読み終える頃には、制作会社に伝えるべきことが明確になり、「何となく不安」という状態から抜け出せているはずです。
なぜ、あなたのWebサイトは成果を生まないのか?よくある失敗パターン

本題に入る前に、多くの経営者が陥りがちな「失敗の本質」について触れておきましょう。それは、「Webサイト制作の判断基準が、経営者自身の主観になっている」という点に尽きます。
失敗パターン1:「とりあえず、いい感じにカッコよくして」
最も多いのがこのパターンです。知人や競合のWebサイトを見て、「うちもあんな感じのカッコいいサイトにしたい」という漠然としたイメージだけで制作会社に依頼してしまうケース。
しかし、「いい感じ」「カッコよく」という言葉の定義は人それぞれです。制作者側は、クライアントの意図を汲み取ろうと努力はしますが、エスパーではありません。結果として、「言いたいことは分かるけど、なんか違うんだよな…」という、誰の心にも響かない当たり障りのないデザインが出来上がってしまいます。
失敗パターン2:「自社の強み?そんなの考えたこともない」
特に、これまでマーケティングに力を入れてこなかった企業に多いのがこのパターンです。
- 自社の本当の強みは何か?
- 理想のお客様はどんな人か?
- 市場における自社の立ち位置は?
これらの問いに対して、明確に言語化できていない状態で制作を進めても、サイトに掲載する情報がブレてしまいます。「高品質」「お客様第一」といった、どこの会社でも言えるような言葉を並べるしかなく、訪問者には「で、結局この会社は何がすごいの?」という印象しか残りません。
Webサイトは、あなたのビジネスの価値を伝えるための「道具」です。伝えるべき「価値」そのものが曖昧なままでは、どんなに立派な道具も宝の持ち腐れになってしまうのです。
Webサイト制作で失敗しないための絶対条件!3つの準備ステップ
では、どうすれば失敗を防ぎ、成果の出るWebサイトを作れるのでしょうか。 答えはシンプルです。制作会社に依頼する前に、以下の3つのステップを、あなた自身が考え、一枚の紙に書き出しておくことです。
- 目的(ゴール)を「数字」で決める
- 理想のお客様(ペルソナ)を「たった一人」に絞る
- 自社の強み(提供価値)を「選ばれる理由」から考える
一つずつ、具体的に見ていきましょう。
ステップ1:Webサイトの「目的(ゴール)」を数字で決める

最初のステップにして、最も重要なのが「Webサイトの目的(ゴール)を決めること」です。
「名刺代わりになればいい」と考える方もいますが、それは非常にもったいない。車を買いに行くときに、「とりあえず走ればいいです」とは言わないはずです。「家族でキャンプに行きたいからミニバンが欲しい」「燃費を重視して通勤に使いたいからコンパクトカーがいい」というように、明確な目的があるからこそ、最適な車が選べます。
Webサイトも全く同じです。
- 整体院を経営しているなら → 「Webサイトから月に10件、新規の予約を獲得する」
- BtoBのコンサルタントなら → 「高単価な契約に繋がる、質の高い問い合わせを月に3件獲得する」
- 採用が目的なら → 「求めるスキルを持った人材から、月に5件の応募がある状態を目指す」
このように、「いつまでに」「何を」「どれくらい」達成したいのかを、具体的な「数字」で定義することが重要です。
なぜ「数字」が重要なのか?
ゴールを数字で設定すると、Webサイトに必要なアクセス数(訪問者数)が逆算できるようになります。
例えば、「月に10件の問い合わせが欲しい」というゴールを立てたとします。一般的に、Webサイト訪問者のうち、問い合わせに至る人の割合(コンバージョン率)は、良くて1%程度と言われています。
10件(目標) ÷ 1%(コンバージョン率) = 1,000人
つまり、月に1,000人の人をWebサイトに集める必要がある、という具体的な行動目標が見えてくるのです。この数字が見えて初めて、「そのためにブログを書こう」「SNSで発信しよう」「Web広告を出してみよう」といった、具体的な施策を考えることができます。
「問い合わせが来ない」と嘆く前に、そもそもゴール達成に必要な人数がサイトを訪れているのか?この視点を持つことが、成果への第一歩です。
ステップ2:「たった一人」の理想のお客様(ペルソナ)を具体的に描く

ゴールが決まったら、次は「誰にその情報を届けたいのか」を明確にします。
これもよくある間違いが、「ターゲットは30代〜50代の男女」のように広く設定してしまうことです。これではメッセージがぼやけてしまい、誰の心にも響きません。「みんな」に向けたメッセージは、結局「誰にも」届かないのです。
そこで、「たった一人の、理想のお客様(ペルソナ)」を具体的に思い描いてみましょう。
マーケティング用語で「ペルソナ設定」と言いますが、難しく考える必要はありません。今いるお客様の中で、「この人のようなお客様がもっと増えたら最高だな」と思える方を一人、思い浮かべてみてください。
その方をモデルに、以下のような項目を書き出してみましょう。
- 名前(仮名): 田中 誠
- 年齢: 42歳
- 職業: 都内で働くシステムエンジニア
- 家族構成: 妻、小学生の子ども2人
- 悩み・課題:
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-
長年のデスクワークで肩こりがひどい。
-
近所のマッサージに色々行ったが、その場しのぎですぐ元に戻ってしまう。
-
本当は趣味のゴルフを思いっきり楽しみたいが、肩が痛くてフルスイングできない。
-
「もう年だから仕方ないのかも…」と諦めかけている。
-
仕事の合間にスマホで「肩こり 根本改善 東京」などと検索している。
ここまで具体的に人物像を描くと、Webサイトで何を伝えるべきかが自ずと見えてきませんか?
「50代の主婦」と「ゴルフ好きの40代男性」では、響く言葉も、興味を引く写真も全く異なります。田中さんに向けて作るなら、「長年のつらい肩こり、あきらめていませんか?」「ゴルフのパフォーマンスを上げる根本改善」といった言葉が、サイトのトップページに必要だと分かりますよね。
「私のことだ!」と思ってもらうこと。これが、Webサイトで信頼を勝ち取るための鍵なのです。
ステップ3:競合ではなく「あなた」が選ばれる理由(強み)を言葉にする

ゴールが決まり、届ける相手も決まりました。最後のステップは、その相手(ペルソナ)に対して、「なぜ、数ある競合ではなく、うちが選ばれるのか」という決定的な理由、つまり自社の「強み」を言葉にすることです。
「高品質なサービス」「お客様第一主義」といった言葉は、残念ながら強みにはなりません。どこの会社も同じことを言っているからです。
そうではなく、理想のお客様である田中さんが、あなたのお店やサービスを選ぶ「決め手」は何かを考え抜くのです。
-
他にはない独自の技術やサービスは?
-
圧倒的な実績や経験は?
-
お客様への手厚いサポート体制は?
もし、このような機能的な強み(機能的価値)がすぐに見つからなくても、心配はいりません。今の時代、もっとも強力な差別化要因となるのが、あなた自身の「物語(ストーリー)」です。これを情緒的価値といいます。
- なぜ、あなたはこの仕事を始めたのか?
- どんな苦労や挫折を乗り越えてきたのか?
- お客様の悩みに、なぜ誰よりも寄り添えると言えるのか?
例えば、「私自身がヘルニアを克服した経験から、お客様の痛みに誰よりも共感し、寄り添うことができます」というメッセージは、単なる技術論よりも深く、お客様の心に響きます。このような、あなただけの体験からくる想い(情緒的価値)こそが、今の時代における最強の「強み」になるのです。
3つの準備が、制作会社とのやり取りを劇的に変える

「目的」「ターゲット」「強み」。 この3つを一枚の紙に書き出し、整理しておく。たったこれだけの準備で、あなたはWebサイト制作を依頼するクライアントの中で、間違いなく「上位10%」に入れます。
この一枚の紙を制作会社に見せるだけで、彼らは「このクライアントは、ビジネスのことを本気で考えているな」と理解し、より質の高い、的を射た提案をしてくれるようになります。
逆に、この3つが曖昧なまま「ヒアリングで何とかしてもらおう」と考えていると、制作会社はあなたのビジネスの戦略を考えるところから始めなければなりません。これは本来、別料金のコンサルティングの領域です。結果として、制作期間が延び、コミュニケーションコストも増大し、お互いにとって不幸な結果を招きがちです。
納期の速い、スムーズなプロジェクトの共通点は、例外なくクライアント側の「準備」が明確であることです。
まとめ:Webサイトは「作る前」が9割
今回は、Webサイト制作で失敗しないために、経営者であるあなたが絶対に決めておくべき3つのステップについて解説しました。
- 目的(ゴール)を「数字」で決める
- 理想のお客様(ペルソナ)を「たった一人」に絞る
- 自社の強み(提供価値)を「選ばれる理由」から考える
Webサイトは、チラシやポスターと同じ、あなたのビジネスを伝えるためのアウトプットの一つです。何のために、誰に、何を伝えるのか。この「戦略」の部分を経営者であるあなたがしっかりと定義することで、初めてWebサイトは成果を生むための強力な武器に変わります。
今日からできることは、まず30分だけ時間をとって、この3つの項目を紙に書き出してみることです。それだけで、あなたのビジネスとWebサイトの未来は、大きく変わっていくはずです。
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