今日は地域ブランディングについて、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
「地域ブランディング」という言葉を聞くと、単純に地域をブランディングすることだと捉えがちですよね。私自身、長年中小企業向けのブランディングに携わってきましたが、2016年に沖縄に戻ってきてからは、地元沖縄、特にうるま市のブランディングやマーケティングに関わらせていただいています。
そんな中、昨日うれしいニュースがありました。沖縄のローカル紙である琉球新報に、うるま市が「Go!Go!URUMA Lovers」のTシャツを市公認Tシャツとして発売開始したという記事が掲載されたんです。しかも、これは地方紙だけでなく、Yahoo!ニュースにも取り上げられ、多くの方の目に触れたのではないでしょうか。
このニュースで特に印象的だったのは、サムネイル写真です。市長をはじめ、うるま市観光物産協会の理事メンバー、そして役所の方々が、みんな「Go!Go!URUMA Lovers」のTシャツを着て、にこやかに笑っている姿が写っていたんです。
このGo!Go!URUMA Loversは、うるま市の観光誘客を目的として制作している動画、YouTube番組名です。うるま市出身、在住のタレントさん9組に出演していただいており、タイトルコールでもあるGo!Go!URUMA Loversはタレントさんと一緒に決めました。
私はこれこそが、真の地域ブランディングだと思うんです。なぜでしょうか?
この記事は2024年9月6日にポッドキャストにて配信した音声を記事化したものになります。ポッドキャストも合わせてお聞きください。
地域ブランディングの本質について考えていきたいと思います。ブランディングとは一言で言うとらしさの形成です。らしさは様々な要素で構成されます。
多くの自治体が陥りがちな地域ブランディングの罠があります。それは、外部のコンサル会社に何千万円もの予算を投じ、有名タレントやインフルエンサーを起用して派手なキャンペーンを展開するというアプローチです。しかし、こういった方法は往々にして税金の無駄遣いになりかねません。
なぜなら、こうしたアプローチは地域の本質的な魅力や、そこに住む人々の想いを反映していないことが多いからです。結果として、一時的な話題にはなるかもしれませんが、持続的な効果を生み出すことは難しいのです。
私が地域ブランディングで最もこだわっているのは、「インナーブランディング」です。これは、その地域に住む人々、働く人々が自分たちの地域のアイデンティティーを理解し、誇りを持つことから始まるブランディングのことです。
地域の人々が「私たちの地域はこんなに素晴らしい」「もっと多くの人にこの魅力を伝えたい」という内発的な動機を持つことが、効果的な地域ブランディングの出発点なのです。
琉球新報の記事のサムネイルには、市長や観光物産協会の方々、役所の職員がこぞってこのTシャツを着て笑顔で写真に収まっています。これは単なるPR活動ではありません。彼らが自分たちの地域に誇りを持ち、その魅力を発信したいという想いの表れなのです。
このTシャツが、うるま市の人々にとって「私たちの誇り」のシンボルとなり、着る人、見る人にうるま市の魅力を伝えるメディアとなっていく。そんな可能性を感じずにはいられません。
こちらの記事もご覧ください。インナーブランディングはユニフォームが効果的!
では、こうしたインナーブランディングを基盤とした地域ブランディングを成功させるには、具体的に何が必要でしょうか?
地域ブランディングの真髄は、その地域に暮らす人々の誇りと愛着にあります。外部の力に頼るのではなく、地域の人々自身が主体となってブランディングを進めていく。そうすることで、地域の魅力が自然と輝き出し、持続可能な地域の発展につながっていくのです。
うるま市のGo!Go!URUMA LoversTシャツの取り組みは、まさにこの理想的な地域ブランディングの一歩を踏み出したものだと言えるでしょう。これからこのTシャツがうるま市の人々にどのように受け入れられ、どのような効果を生み出していくのか、とても楽しみです。
皆さんの地域でも、こうした内発的な動機に基づいた地域ブランディングの種はきっとあるはずです。それを見つけ、育て、大きく成長させていく。そんな取り組みが、日本中の地域で広がっていくことを願っています。
地域の未来は、そこに暮らす人々の手の中にあるのです。一緒に、誇りある地域づくりを進めていきましょう!
今年度のGo!Go!URUMA Loversの撮影もはじまりました。お楽しみに!