皆さん、最後に目覚まし時計を使ったのはいつですか?
スマホのアラームが当たり前になった今、目覚まし時計は過去の遺物かもしれません。先日、子供たちのために久しぶりに目覚まし時計を買って、ふと思ったんです。
「あれ、最近買ってないものって結構あるな…」
うちの子供たちは早起きで、週末は5時半や6時には起きてくるんです。でも、いつも僕が起こしていたので、そろそろ自分で起きるように自立させようと思ったんですね。
「もうお父さんに頼りすぎだよ!自分で起きなさい!」
そう言ってみたものの、子供たちはスマホを持っていない。ハッとして、そういえば目覚まし時計がなかったことを思い出しました。
以前買ったものは壊れてしまっていたので、近所のホームセンターへ。洗濯機のホースの部品を買いに行ったついでに、目覚まし時計コーナーへ。
そこで見つけたのが、レトロで可愛らしい目覚まし時計でした。値段も手頃で、「これならいいか」と手に取ったんです。
ふと説明書を見ると、そこにはこんなメッセージがロゴマークに添えられてました。
「大切なヒトトキを。」
あなたの「毎日」、あなたの「暮らしに」にマグはそっと寄り添います。
このメッセージに、僕は心を奪われました。
(あれ、なんかいいかも…)
そう思った僕は、すぐにスマホで「マグ」について調べ始めたんです。
この記事は2025年3月16日に Podcastで配信した音声をもとに作成しています。 Podcast も合わせてお聞きください。
ブランドストーリーに引き込まれる
まず目に飛び込んできたのは、一本のブランド動画でした。
それは、まるでショートドラマのような、丁寧に作られた動画でした。
内容は、夫婦の日常を描いたもの。
奥さんがスマホばかり見ていると、旦那さんが目覚まし時計を買ってきたことを伝えます。
実は奥さんは以前、スマホのアラームだけでは不安だと旦那さんに話していたんですね。それを覚えていた旦那さんが、ずっと探していたというのです。
小さな箱を渡された奥さんは、中に入っていた目覚まし時計を見て、20年前の記憶を思い出します。
それは、高校生の頃、母親に買ってもらった目覚まし時計と全く同じものだったんです。
その瞬間、奥さんの表情が変わり、笑顔が溢れました。
僕は、この動画を見て、中学時代の新聞配達の記憶を思い出しました。
その動画がこちらです。
当時は電子音の目覚まし時計を使っていましたが、なかなか起きられず、よく寝坊したものです。
そこで、ベルタイプの大音量の目覚まし時計を買ったんですね。
ジリリリリ!という爆音で、ようやく起きられるようになりました。
(懐かしいな…)
そんなことを思い出していると、ふと疑問が湧いてきました。
「最近、目覚まし時計を使っている人ってどれくらいいるんだろう?」
スマホに奪われたもの
スマホの登場で、目覚まし時計の売り上げは激減したのではないでしょうか。
時計自体を身につける人も減りました。僕もその一人です。
でも、考えてみれば、朝起きるという目的だけなら、スマホのアラームで十分なんですよね。
では、目覚まし時計メーカーは、どうやって生き残っているのでしょうか?
調べてみると、この「マグ」を作っているのは、ノア精密株式会社という、創業から長い歴史を持つ会社でした。
ホームページを見てみると、「大切なヒトトキを。」というブランドメッセージが掲げられています。
(あれ、これって…?)
僕は、ブランディングの仕事をしているので、すぐに気づきました。
これは、リブランディングだ、と。
家電製品を買っても、最近はブランドメッセージやSNSのQRコードを大きく目立たせる説明書を見かけることは少なくなりました。
しかし、この会社は、ロゴマークの上にしっかりとブランドメッセージを掲げ、タグラインも添えています。
動画を見ても、ブランドストーリーを大切にしていることが伝わってきました。
ホームページ自体は少し使いにくい部分もありましたが、YouTubeの動画は、ブランド動画以外にも、子供向けの時計の説明動画や、製品の使い方動画など、様々なコンテンツが用意されていました。
これは、Googleが提唱する3H戦略に基づいたものだと考えられます。
3H戦略とは、Hero(ヒーロー)、Hub(ハブ)、Help(ヘルプ)の3つの種類の動画を組み合わせることで、顧客とのエンゲージメントを高める戦略です。
- ヒーロー動画:ブランドの共感を呼ぶ動画
- ハブ動画:顧客のニーズに合わせた商品紹介動画
- ヘルプ動画:商品の使い方などのハウツー動画
この会社は、3H戦略を意識しながら、自社の強みを最大限に活かしているように感じました。
ただ、一つ気になったのは、ブランドストーリーの動画以外の動画の最後に、男性の声でブランドメッセージとタグラインのアナウンスが流れるのですが、その音源の質が少し気になったことでした。
おそらく、自社で録音されたものなのでしょう。
でも、僕はそこに、この会社の温かさを感じました。
外注せずに、自分たちでやろうという姿勢が伝わってきたからです。
ブランディングとは何か?
ここで、改めてブランディングについて考えてみたいと思います。
ブランディングの役割とは、顧客に「なんかいいかも」と感じさせ、商品を通じて顧客と繋がることです。
今の時代、商品やサービスは溢れています。
その中で、自社の存在意義や価値観を伝え、「なんかいいかも」「好きになる」という気持ちを生み出すのが、ブランドメッセージなのです。
ブランドメッセージは、いわばキャッチコピーのようなものですが、単に商品の魅力を伝えるだけでなく、企業の理念や想いを凝縮したものです。
そして、そのブランドメッセージを補足するのが、タグラインです。
タグラインは、一文で企業の存在意義や価値観を伝える言葉です。
ノア精密株式会社の「MAG」ブランドは、このブランドメッセージとタグラインをしっかりと打ち出すことで、顧客に響くブランド体験を提供しているのだと感じました。
あなたにとって大切な「時」とは?
あなたは、最後に目覚まし時計を使ったときのことを覚えていますか?
スマホが普及し、便利になった一方で、私たちは何か大切なものを失ってしまったのかもしれません。
それは、家族や友人との時間かもしれませんし、自分自身と向き合う時間かもしれません。
「マグ」の目覚まし時計は、僕に子供時代の記憶を思い出させてくれました。
それは、2000円以上の価値があったと思います。
あなたも、目覚まし時計を通して、過去の記憶を振り返ってみてはいかがでしょうか?
そこには、きっとあなたにとって大切な「時」が眠っているはずです。
リブランディングという選択
今回は、ブランディング、中でもリブランディングについてお話しました。
リブランディングとは、既存のブランドを再構築し、新たな価値を創造することです。
時代の変化に合わせて、自社の強みや価値を見直し、再定義することで、ブランドは再び輝きを取り戻します。
そのためには、まず自社が伝えたいメッセージを明確にし、それを発信し続けることが大切です。
ロゴマークの上にブランドメッセージを掲げ、タグラインで補足する。
これは、小さな一歩かもしれませんが、ブランドを大きく変える力を持っています。
あなたも、自社のブランドを見直し、新たな価値を創造してみてはいかがでしょうか?