「人手が足りなくて、新しいことに挑戦できない…」
「もっと効率よく売上を上げたいけど、どうしたらいいんだ…」
地方で奮闘されている経営者やマーケティング担当者の皆さま、こんな悩みを抱えていませんか?
このブログでは、地方の中小企業がマーケティングと営業の力を強化するためのヒントをお届けしています。
さて今日は、そんな皆さまの救世主になるかもしれない「AI」について、非常に重要な話をします。
先日、世界的なマーケティング・プラットフォームを提供する「HubSpot」のCEO、ヤミニ・ランジャン・ラナ氏のインタビュー動画を観て、衝撃を受けました。これは皆さんに絶対にお伝えしなければならない、と。
「AIなんて、都会の大企業の話でウチには関係ない」
もし、そう思っていたら、この記事を読み終える頃にはその考えが180度変わっているはずです。むしろ、人手に課題を抱える地方の中小企業にこそ、AIは計り知れないチャンスをもたらします。
実際に、私たちの会社でもAIを活用し、入社3ヶ月のWeb制作未経験のスタッフが、専門知識が必要なロボット関連のWebサイトをたった1ヶ月足らずで公開してしまいました。それくらい、AIはビジネスのゲームチェンジを可能にするツールなのです。
今回は、HubSpotのCEOが語った内容を基に、私たち中小企業がAIをどう活用し、売上を伸ばしていくのか。具体的な事例を交えながら、徹底的に解説していきます。
この記事は2025年7月5日に ポッドキャストで配信した音声を元に作成しています。 ポッドキャストも合わせてお聞きください。
まず、AIと聞くと「仕事が奪われる」という、少し怖いイメージが先行していませんか?ニュースでもそうした論調を見かけることがあります。
しかし、HubSpotのCEOはこう断言しています。
「AIは、人間を“拡張”するものです」
“拡張”する、とはどういうことか。
これは、AIと人間が上手に役割分担をする、という考え方です。
AIが得意なのは、毎日繰り返される「定型的な作業(ルーティンワーク)」です。
私自身、長年営業をやってきたのでよく分かりますが、お客様に提案する前に、その会社のサイトを見たり、業界ニュースを調べたりして仮説を立てる作業に、膨大な時間を使っていました。こうした準備や単純作業は、これからはAIに任せてしまいましょう。
そうしてAIが稼いでくれた時間で、私たち人間は何をすべきか?
それは、「人でしかできないこと」に集中することです。
HubSpotのCEOが言うには、AIのおかげで営業担当者の生産性が上がれば、むしろ営業担当者を増やすべきだ、と。なぜなら、AIという超優秀なアシスタントを手に入れた営業担当者は、これまで以上に売上を上げられるようになるからです。
どうでしょう。こう考えると、AIは従業員の仕事を奪う怖い存在ではなく、会社の売上をグッと加速させてくれる「超優秀なアシスタント」だと思えませんか?
「理屈は分かった。でも、具体的にどう使えばいいんだ?」
その疑問にお答えします。
ここからは、HubSpotが実際に大きな成果を上げている、驚きのAI活用事例を3つご紹介します。ぜひ、「自社だったらどう使えるか?」とイメージしながら読み進めてください。
まず一つ目。なんとHubSpotでは、お客様からの問い合わせの約半分(50%)をAIだけで解決しているそうです。
しかも、驚くべきは「顧客満足度は高いまま維持している」という点。AIが対応してくれたおかげで生まれた時間は、もっと手厚いサポートが必要なお客様への対応に回せているわけです。
<あなたの会社では?>
毎日、同じような電話やメールの対応に、貴重な人材と時間を取られていませんか?その定型的な問い合わせ対応、AIに任せられるかもしれません。
これが今日の目玉かもしれません。「営業の自動化」です。
AIが自動でお客様候補の会社をリサーチし、「この会社の社長は最近こんな発言をしているな」「この業界は今、こういうことに困っているかもしれない」といった、相手が興味を持ちそうなポイントを勝手に分析してくれます。
そして、それを基にした営業メールの原稿を作成し、アポイントまで取ってくれる。この仕組みで、HubSpotは直近の数四半期だけで、なんと1万件以上の商談を創出したそうです。1万件です。信じられますか?
新規開拓営業を経験した身として言いますが、見込み客のリサーチや提案書の作成には、本当に時間がかかります。電話をかける時間よりも、その準備にかかる時間の方が長いこともしばしばです。これら全てをAIに任せられる時代が来たのです。
<あなたの会社では?>
営業担当者の方が、お客様と直接話す時間よりも、パソコンの前でメールを書いたり、調べ物をしたりする時間の方が長くなっていませんか?
三つ目は「マーケティングの効率化」です。
Webサイトに訪問してくれたお客様の行動や興味をAIが分析し、一人ひとりに合わせて最適なメッセージや情報を表示させる。いわゆる「パーソナライズ」です。
例えば、「価格に興味がある人には、料金プランのポップアップを出す」「導入事例を探している人には、同業種の成功事例へのリンクを見せる」といった具合です。
これを実践した結果、HubSpotではホームページからの問い合わせ率が80%〜100%、つまり倍になったとのこと。
これは私がPodcastでも何度も話していることですが、これからのWebサイトは、顧客のニーズに合わせて情報を「出し分ける」ことが当たり前になります。実はHubSpotのツールには、CRM(顧客関係管理)のデータと連携し、「このリストに入っているお客様がサイトに来たら、このページだけを表示する」といった高度な機能がすでに備わっています。
<あなたの会社では?>
会社のホームページが、ただのデジタルパンフレットになっていませんか?お客様一人ひとりに語りかけることで、成果は劇的に変わります。
さて、ここまでAIで業務を効率化する話をしてきましたが、最後は「どうやってお客様を集めてくるか」という集客の話です。
ここで一つ、皆さまに衝撃的な事実をお伝えしなければなりません。
Googleの発表によると、現在、検索結果の60%以上が、Webサイトをクリックされることなく、AIが生成した概要(AI Overviews)を読んで完結してしまっているというのです。
これは何を意味するか。
つまり、私たちが今まで一生懸命やってきた「SEO対策」…ブログを書き、検索順位を上げ、アクセスを待つ、というやり方だけでは、これからはお客様に見つけてもらえなくなる時代が来ている、ということです。
私自身、毎日ブログを書いていますが、自社サイトのアクセス解析ツール(Google Analytics)を見ると、検索からの流入が激減していることを肌で感じています。これはクライアントのサイトでも同様の傾向が見られます。多くの人が、わざわざGoogleで検索しなくても、ChatGPTなどで直接答えを得るようになっているのです。
では、どうすればいいのか?
そこで登場する新しいキーワードが「AI最適化(AIO:AI Optimization)」です。
難しく聞こえるかもしれませんが、要は「AIが、ユーザーの質問に対する“最高の答え”として、自社の情報を見つけやすいようにしてあげる」ということです。
これまでは「キーワード」をタイトルや本文に散りばめることを意識してきました。しかし、これからは違います。お客様が抱えているであろう、もっと「具体的で、個人的な悩み」や「ピンポイントな質問」に、専門家としてズバリ答えてあげるコンテンツを作ることが、何よりも重要になるのです。
そしてもう一つ、重要な戦略があります。それは「発信チャネルの多様化」です。
インタビューの中で、HubSpotのCEOは「ブログのアクセスが70%減少したというニュースがありましたが?」と問われ、こう即答しました。
「それは想定内です。そもそもブログは、私たちの集客チャネル全体の10%に過ぎません」
HubSpotらはブログのアクセスが減ることを見越し、何年も前からYouTubeやPodcast、メールマガジンといった、様々な発信手段を育ててきたのです。実際に、彼らは人気のPodcast番組を買収したりもしています。
私たち中小企業も、ホームページやブログだけでなく、お客様がいるであろう様々な場所で情報発信していくことが、これまで以上に大切になります。
ユーザーがいる場所は、多岐にわたります。
ただ、「そんなにたくさんのチャネルで発信なんてできない!」と思いますよね。そこで、再びAIの出番です。例えば、私が実践しているのは、まずこのPodcastで話した内容を、AIを使ってブログ記事にし、さらにその内容をSNS用に要約・編集して投稿する、という流れです。
一つのコンテンツを、AIというアシスタントの力を借りて、様々な形に変化させ、多くのチャネルに展開していく。AIを使えば、一人でも何倍もの発信力を手に入れることができるのです。
いかがでしたでしょうか。AIの世界は、思ったよりもずっと、私たちのビジネスの身近なところにありました。
本日の重要なポイントを3つにまとめます。
AIは敵ではなく「超優秀なアシスタント」である。 定型業務はAIに任せ、人間は人でしかできない創造的な仕事や顧客との関係構築に集中することで、会社は成長する。
まずはスモールスタートで試してみる。 HubSpotの事例のように、顧客サポートや営業リサーチなど、何か一つ特定の業務からAI活用を始めてみるのが成功の鍵。
集客は「AIO」と「マルチチャネル」を意識する。 お客様の具体的な質問に答えるコンテンツを作り、ブログ以外の多様なチャネルで発信していくことが必須になる。
いきなり、あれもこれもと手を出す必要はありません。
この記事を読み終えたら、ぜひ、あなたの会社の業務を一度棚卸ししてみてください。
「この作業は、AIに任せられるな」
「この仕事は、人でしかできない価値があるな」
このように、役割分担を考えてみるだけでも、大きな一歩です。
AIという強力な追い風を味方につけている会社と、そうでない会社とでは、これから生産性、そして売上と利益に圧倒的な差が生まれてくるでしょう。
ぜひ、あなたもこの変革の波に乗り、ビジネスを次のステージへと進めていきませんか?
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