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AI時代に求められる「問いを立てる力」今こそ大人が学ぶ「探究学習」

Hiroki Teruya By Hiroki Teruya
AI時代に求められる「問いを立てる力」今こそ大人が学ぶ「探究学習」

今日の教育現場では、これまでの常識が大きく変わり始めています。特に、これからの社会で求められる人材を育てる上で重要なキーワードとなっているのが「探究学習」です。

このブログ記事では、中学校の先生方や、お子さんをお持ちの保護者の皆さんに、探究学習とは何か、なぜ今これほど注目されているのか、そしてそれが私たち大人にとってもいかに重要なのかを、具体的な例を交えてご紹介します。

この記事は2025年6月11日にポッドキャストで配信した音声をもとに作成しています。ポッドキャストも合わせてお聞きください。

 

私たちの「常識」はどこで培われたのか?

私たちは皆、それぞれの「常識」を持っています。しかし、その常識はどこで培われたのでしょうか?おそらく、多くの人にとって、学校教育がその根幹にあるのではないでしょうか。学校で教えられた知識や価値観が、私たちの考え方や行動のベースになっていることは少なくありません。

しかし、その「常識」が、他の人から見れば「非常識」と映ることはないでしょうか?もしそう感じることが多いなら、それはむしろチャンスかもしれません。なぜなら、今、子どもたちが学ぶ学校現場では、まさにその「常識」を揺るがすような新しい取り組みが始まっているからです。

今、教育現場で起きている「探究学習」とは?

探究学習は「起業家育成」?

近年、「探究学習」という言葉を耳にする機会が増えました。これは、これからの時代を生き抜く子どもたちに必要な力を育むための新しい教育プログラムです。文部科学省も教育指導要領に明記し、未来の人材育成の核として位置づけています。

Geminiの音声概要では探究学習について詳細を音声概要でご紹介しています。

探究学習のリアル報告書から見えた「生きる力」と現場の課題
7:22

 

探究学習4つのステップ

従来の教育と探究学習の違いとは

概念図はこちらでもご確認いただけます。Claudeの公開リンクを共有します。

探究学習とは?概念図 claudeの公開リンク

では、具体的に探究学習とは何でしょうか?一言で言えば、それは「起業家育成」に他なりません。子どもたち自らが「問い」を立て、その問いを解決するために情報収集・分析を行い、解決策を考え、実行に移す。学校の先生は教える側ではなく、あくまでそのプロセスをサポートする「ファシリテーター」に回るのです。

私自身、地域事業者として探究学習のミッションを出す側に立つ機会があり、その準備を進める中で、この学習法の奥深さを改めて実感しました。例えば、私が提供したミッションは「地元うるま市の観光客を増やすためのアドベンチャーコンテンツの企画」というものでした。子どもたちはこのミッションに対して、自ら課題を見つけ、解決策を創造していくことになります。

1時間で作成したミッションのWebページはこちら。GeminiとWixStudioを使えば調査から分析、コンテンツ企画、Webサイト構築まで1時間でさくっと作成することが可能です。

探究学習をAI(Gemini)のDeep ReserchとWixStudioで加速させる

なぜ今、探究学習が必要なのか?

変化の激しい時代を生き抜く力

かつて、私たちの世代の教育は、とにかく「正解」を導き出すことに重点が置かれていました。答えが決まっている問題をいかに早く、正確に解くか。そのため、暗記教育が中心だったと言えるでしょう。しかし、時代は大きく変わりました。

日本はこの30年間、経済成長が停滞し、貧富の差が広がり続けています。その大きな要因の一つに、もしかしたらこれまでの学校教育があったのかもしれません。AIの進化が止まらない現代において、人間がこれまで行ってきた仕事の多くがAIに代替されつつあります。あなたの仕事は10年後も同じように存在していると確信できますか?

「AIに仕事を奪われる」という話は聞き飽きたかもしれません。しかし、逆転の発想をしてみましょう。AIを味方につけて新しいビジネスを生み出せる人にとっては、むしろチャンスが広がっているのです。その鍵となるのが、まさに「探究学習」で培われる力だと私は確信しています。

探究学習で育む「起業家マインド」

探究学習を通じて育まれるのは、まさに起業家が持っているマインドそのものです。

  • 問いを立てる力(問題発見力)
  • 問題を解決する行動力
  • 自分たちならできるという自己効力感

これらは、イノベーションを起こす上で不可欠な要素です。イノベーションは常に「問い」から始まります。「それって本当に必要?」「もっとこうしたらいいんじゃない?」「そもそも、これって常識だけど、もういらないんじゃない?」といった問いが、新しい価値を生み出す源泉となります。AIを活用しようとすれば、真っ先にこの「問いの数」が重要になるのです。

例えば、「この仕事に5時間かかった。5分でできないのか?」という問い。できないと答えるのではなく、どうすれば5分で終わらせられるかという発想が生まれるかどうかが、探究学習で養われる力の真髄です。

私たち大人が「探究学習」を忘れた理由

子どもの頃は誰もが「探究者」だった

どうして私たち大人は、探究学習の心を忘れてしまったのでしょうか?

探究学習は子供の好奇心から生まれる

子どもの頃を思い出してみてください。学校に行かなくても、私たちは自然と探究学習をしていました。公園で虫を見つけたら「このバッタ、どうしてこんなに跳ねるんだろう?」「どうしたら捕まえられるかな?」と考え、試行錯誤したはずです。

探究学習は人間の本能である

海でハゼを捕まえようとして、なかなか捕まえられない時、「どうしたら捕まえられるだろう?」と考えて、砂を盛り上げながら魚を追い詰めるという自分なりの方法を編み出した人もいるかもしれません。

こうした「なぜそうなんだろう?」「これどうなってるの?」という好奇心こそが、探究学習の原動力となる「問い」の始まりです。先生や上司から与えられたテーマではなく、「もっとこうしたらいいんじゃないか?」「これってどうなってるの?」という内側から湧き出る好奇心こそが、探究のガソリンとなるのです。

「指示待ち人間」と「失敗を恐れる心理」

しかし、いつの間にか私たちはその好奇心を忘れ去ってしまいました。子どもたちが大人になり、会社勤めをするようになると、「指示待ち人間」という言葉が生まれてきます。「次、何をしたらいいですか?」と尋ねる社員に対して、社長は「仕事は自分で考えてやるべきだろう」と思うわけです。

学校教育で「答えがないと良い点が取れない」という環境に慣れてしまった私たちは、答えを覚えることに長け、自分で問いを立てることをやめてしまったのかもしれません。

さらに、私たち人間は本能的に快楽を求め、痛みを避ける生き物です。そのため、「失敗」という痛みを避けようとして、新しい挑戦をすることをやめてしまいます。大人になると、「なぜ?」と問うことをしなくなったのは、この失敗を恐れる心理が大きく影響しているのではないでしょうか。

AI時代に求められる人物像と「探究学習」

AIが活躍する現代において、AIを使いこなし、新しいことに果敢にチャレンジしている人たちは、もしかしたらこれまでの学校教育の枠には収まらないような人たちだったのかもしれません。

子どもの頃、誰もが「なんで?」「どうして?」が口癖だったはずです。しかし、大人になるにつれて、いつの間にかその言葉を言わなくなってしまったのではないでしょうか?

人間にしかできないこと:「問いを立てる力」

AI時代に求められる人物像とは、一体どのようなものでしょうか?AIが得意なことと人間が得意なことを理解することが重要です。

  • AIが得意なこと: 大量の情報処理、分析、パターン認識、高速な計算など。
  • 人間が得意なこと: 共感、感情、創造性、そして「問いを立てる力」

AIは文脈から推測される問いを立てることはできますが、それはAI自身が生活した上で生まれた問いではありません。私たち人間だけができることは、まさに「問いを立てる」こと、つまり「疑う力」だと私は考えています。

「これってどういうことなの?」「なぜそうなっているの?」「もっとこうしたらいいんじゃないの?」といった問題提起こそが、人間に残された重要な役割なのです。

探究学習の4つの要素と起業家スキル

探究学習は、大人にとっても非常に役立つ、いや、むしろ大人にこそ必要な「起業家マインド」を育成するプロセスです。探究学習の4つの要素と、それがどのように起業家スキルに対応しているかを見ていきましょう。

1. 問いを立てる(問題発見・ニーズ発見)

これは、地域や社会の課題、つまり市場のニーズを発見する力に直結します。世の中の人々が何に困っているのかを見つけるスキルは、ビジネスにおいて最も重要なスキルの一つです。仕事とは、困っていることを解決することだからです。

2. 情報収集・分析(市場調査・競合分析)

何かを始める際には必ず情報収集を行います。他の会社がどのような商品やサービスを提供しているのか、今どのような商品が売れているのかなどを調べます。ウェブサイトを作る際にも、市場調査や競合分析は欠かせません。

これまで時間と労力がかかっていた情報収集・分析は、AIの登場により劇的に効率化されました。Google検索に何時間も費やしたり、本を読んだり、人に話を聞いたりしていた作業が、AIを使えばわずか5分から15分程度で、多角的な情報源から調査・分析し、レポート作成、インフォグラフィック化、音声化、ウェブページ作成まで可能になったのです。

3. 仮説検証(テスト・実行力)

問いを立て、調査・分析した結果を元に仮説を立て、実際に試してみる。この「やってみる」というテストのプロセスが、探究学習には含まれています。

私自身、母校の探究学習で使う資料を作成する際、わずか1時間でウェブサイトを作成しました。Chat GPTやGeminiのようなAIによるディープリサーチを活用し、子どもたちに問いを投げかけ、情報提供を促し、アイデアが出やすくなるようなインフォグラフィックを盛り込んだウェブサイトを、ノーコードツールのWix Studioを使って公開したのです。以前なら1週間、いや2週間かかっていた作業が、たった1時間で可能になったのです。

4. 自己効力感(リーダーシップ・実行力)

探究学習の最終的な目的の一つは、この「自己効力感」を高めることです。自己効力感とは、「自分はできる」「自分には能力がある」という自信につながる感覚のことです。

「私にはできない」「私なんて…」といった考え方は、もしかしたら過去の学歴社会の中で私たちに埋め込まれた先入観かもしれません。探究学習は、この自己効力感を育み、リーダーシップや実行力を高める上で非常に効果的なのです。

今日からできる!大人のための「探究学習」

では、私たち大人は今日からどのように探究学習を取り入れれば良いのでしょうか?

日常生活に「問い」を立てる

人間だけができる最も重要なこと、それは「問いを立てる」ことです。

日常生活の中で、「これってどういうことなの?」「なぜそうなっているの?」「もっとこうしたらいいんじゃないの?」という問いを立てる習慣をつけましょう。AIは問題提起をしてくれますが、それはAIが自ら生活した上で生まれた問いではありません。文脈から推測されることを問いにしているだけなのです。

だからこそ、私たち人間が考えなければならないこと、人間にしかできないこと、それは「問いを立てる力」、つまり「疑う力」なのです。

「これから必要なスキルは疑う力だ」と、私はよくセミナーでお話しています。問いさえあれば、正直AIを使えば、様々な筋道や解決策が提示されます。あとは実行するだけです。どのようにやるか(How)の部分は、AIを使えば専門家レベルでできるようになります。

本当に重要なのは、「なぜ(Why)」の部分です。なぜそうなのか、なぜこれが必要なのか、なぜこの問題を解決するべきなのか。この「Why」を自ら立てる力が、探究学習、そしてこれからの起業家マインドに最も必要とされることなのです。

あなたも「Why」を考えてみませんか?

ぜひ、あなたも日常生活における「Why」を考えてみてください。子どもの好奇心のように、あらゆる物事に「なぜ?」「どうして?」と問いを立てることで、きっと新たな発見やアイデアが生まれるはずです。

探究学習は、子どもたちだけでなく、私たち大人にとっても、激変する時代を生き抜き、未来を切り拓くための強力な武器となります。今日から「問いを立てる」ことを意識し、あなた自身の、そしてお子さんの未来を豊かにしていきましょう。

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