OWNDAYSのブランド戦略をヒントに、採用難に悩む地方中小企業が“人を主役にする”ブランディングで魅力を発信する方法を解説します。また、OWNDAYSとJ!NSの採用ページの比較からわかることを共有します。
この記事は2025年5月4日にポッドキャストにて配信した音声を元に作成しています。ポッドキャストも合わせてお聞きください。
商品ではなく「人」で選ばれる時代
「安くて、早くて、おしゃれ」。それだけで選ばれる時代は、もう終わりかもしれません。
僕が最近注目しているのが、メガネ業界で圧倒的に存在感を放つ「OWNDAYS」の戦略です。
地元企業が生き残るためにヒントになるのが、“人”を主役にしたブランディングです。
OWNEDAYSの店舗体験で得た気づき
先日、息子のメガネが壊れて急遽OWNDAYSへ。対応の早さ、20分での仕上がり、そしてなによりスタッフの印象に驚かされました。
黒いパーカーに白ロゴの制服、統一感のあるメイク、明るくて親しみやすい接客──単なるメガネ屋さんではない。まるで“ブランドの世界観”そのものでした。
しかもスタッフはみな若く、いきいきと働いている。それだけで、企業としての魅力が伝わってきます。
「SPA型ビジネス」以上の強みは人をブランドにする戦略
OWNDAYSやJ!NSは「SPA(製造小売業)」という業態でコストを抑えていますが、それ以上に大きいのが人をブランド化している点です。特にOWNDAYSは、社員ひとりひとりがブランドアンバサダーのように輝いて見えるのです。
地方のローカルテレビ局で配信されたオンデーズのテレビCM。出演者はタレントではなく、社員さんらしいです。
TikTokも積極的に社員さんが登場しています。
公式サイトや採用サイトでもスタッフを前面に出し、企業の魅力ではなく“人の魅力”で差別化を図っています。
OWNDAYSの公式サイトのフッター付近にスタッフの動画が紹介されています。沖縄の店舗スタッフもいるかなとスクロールすると、いました!今度会いに行こうとかな。(笑)

地元企業との決定的な違い:採用サイトにも表れる本気度
J!NSの採用サイトは公式サイト内に収まっている一方で、OWNDAYSは完全にドメインを分け、世界観を変えています。
recruit.owndays.com
というサブドメインで運営し、まるで雑誌のように「働く人」にフォーカスしたコンテンツを発信。
<ONDAYSの採用サイト>
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<J!NSの採用ページ>

働く人を主役に据える、これがOWNDAYSの採用ブランディングの考え方だと思います。
「人に会いに行きたくなる職場」。それができているからこそ、若者の心に刺さるのです。
OWNDAYSとJ!NSのブランド戦略の比較
特徴
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OWNDAYS
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JINS
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コアコンセプト/ビジョン
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「メガネ業界のZARA」→「安心」→「OWN ‘your’ DAYS」(ファッション、信頼性、自己表現)
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「Magnify Life」(アイウェアを通じた人生の豊かさの拡大)
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主要ターゲット層
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ファッションに関心のある若年層、価格と分かりやすさを重視する中高年層、海外顧客/インバウンド
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機能性を求める層(PCユーザー等)、ライフスタイルに合わせてメガネを選ぶ層、幅広い年齢層
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副次ターゲット層
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多様な価値観を持つ幅広い層
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トレンドに敏感な20-30代(RIMブランド)
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主要な価値提案
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スタイル、スピード、価格のシンプルさ、信頼性(安心)、グローバルな展開
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イノベーション、機能性、ライフスタイルへの統合、適正価格での品質、顧客ウェルビーイング
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ブランドパーソナリティ/イメージ
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ファッショナブル、スピーディー、親しみやすい、信頼できる、グローバル
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革新的、機能的、誠実、インスパイアリング、ライフスタイル志向
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「裏方に徹するWeb制作業界」から見えた気づき
Web制作業界にいる僕自身、「表に出るのはクライアント」「自分たちは裏方」という意識が強くありました。
でも、それって本当に今の時代に合ってるのか?
OWNDAYSのように、“働く人が主役”になることで、会社の印象は一気に変わります。
社員が活躍する姿に憧れて応募する──そんな未来を作るには、まず人を見せる覚悟が必要です。
「人でブランディングする企業」が勝つ時代へ
地元企業の採用において、よくあるのが「とりあえずハローワーク」「公式サイトにちょこっと採用情報を載せる」だけ。これでは若い世代には響きません。
重要なのは「採用情報」ではなく、「働く人の物語」。
会社紹介ではなく、“人に出会えるWebサイト”を作ること。OWNDAYSの事例は、まさにその成功パターンです。
実際にできる!人を主役にする採用ブランディング施策5選
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採用サイトをサブドメインで独立させる
→世界観を変えることで、ブランドとしての真剣さが伝わる
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社員紹介を雑誌のように構成する
→業務内容だけでなく「人生の選択」としての働き方を紹介
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SNSで社員が“自ら発信”できる文化づくり
→TikTokやInstagramで、社員の個性が企業の魅力に
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写真や動画のトーンを統一する
→ブランド世界観をビジュアルでも構築
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「憧れられる職場像」を明確に打ち出す
→社風・働く姿勢・価値観を発信し、共感を得る
地方から“OWNDAYSのような会社”を目指すには?
沖縄にも素晴らしい企業はたくさんあります。
でも「見せ方」で損をしている会社も多い。実にもったいないです。
OWNDAYSのような「ブランド×人材戦略」を取り入れれば、地方発でも全国に届く企業になることは可能です。
むしろ、地域性と“人の温かみ”が融合すれば、唯一無二の企業ブランディングになります。
まとめ:「憧れの先に、採用がある」
人手不足に悩む企業が、まず取り組むべきことは求人票の改善ではありません。
“人が憧れる職場”を見せること。そのためには、社員の姿こそが最大のコンテンツです。
OWNDAYSの戦略から学べるのは、採用とは「企業の魅力を売り込むこと」ではなく「人の魅力に共感してもらうこと」。
地方中小企業だからこそできる、“人で勝つ”戦略を、今こそ始めましょう。
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