社員に伝えたい理念、思い。伝えているつもりでも、なかなか届かない…そんな風に感じたことはありませんか?今日は「社長の声だからこそ、社員の心に届く」という、音声の力についてお話ししたいと思います。
この記事は2025年3月22日にポッドキャストで配信した音声をベースに作成しています。ポッドキャストも合わせてお聞きください。
僕自身、2013年頃から東京でブランド構築に関わってきました。公式サイトのリニューアルや、採用サイト制作など、ブランディングを目的としたプロジェクトで、経営者と一緒に理念を伝える仕組みづくりをしてきました。
ただ、毎回感じるのは、「経営者の思いは熱いのに、なかなか社員まで届いていない」という現実。朝礼やミーティングなどで定期的に話していても、それが全社員の心に伝わっているかというと…難しいですよね。
理念が伝わらないから離職に繋がったり、採用時のミスマッチが起きたりする。そういう課題、結構あるんです。そこで最近、僕が最も効果的だと感じているのが「Podcast(ポッドキャスト)」です。
なぜ、Podcastがインナーブランディングに効くのか?今日はその理由を3つに絞ってお伝えします。
1. 耳は“プライベートゾーン”。声は心に届く
まず一つ目は、「耳はプライベートゾーンに入る感覚器官」だということ。ヘッドホンやイヤホンで耳元から社長の声が届く…それだけで心理的な距離がグッと縮まるんです。
人間の脳は、耳元で話しかけられると「これは対話だ」と認識します。つまり、社員がPodcastを聴いているとき、まるで社長と一対一で話しているような感覚になるんですね。動画や文章では届かない“人の温度”が、音声ではちゃんと伝わる。
AppleやSpotifyなどの大手企業が“耳のシェア”を取りにきているのも、こうした親密さがあるからです。
2. 耳は集中力と想像力を引き出す
二つ目は、耳=聴覚は集中力と想像力を引き出す力があるということ。動画だとつい他の情報に気が散ってしまったりしますが、音声は違います。
僕が20代の頃によく聴いていたラジオ番組「Suntory Saturday Waiting Bar Avanti」。カランカランと扉が開く音、氷がグラスに当たる音…。そういった音の演出だけで、まるでその場にいるかのような感覚になるんですよね。
つまり、音には「脳内にイメージを浮かばせる力」がある。人間は“頭の中で描いた映像”と“実際に見た映像”の区別がつかないそうで、それが記憶に定着しやすくなるわけです。
3. ミラーニューロンが共感を生む
三つ目は、「ミラーニューロン」の働きです。相手の声のトーンや感情を聴くことで、脳が共感を生むんです。
営業でもよくある「相手の動きを真似る」テクニック、あれもミラーリングですね。尊敬する人の口癖が自然と映るように、社員も社長の話し方や価値観に影響を受ける。これって、音声が一番得意とする部分だと思います。
実際の企業事例
Salesforceも「Blazing Trails」といった社内ポッドキャストで多様性や理念の共有を行っています。
グローバル企業ほど、社長と社員が直接会話する機会がない。でも、音声なら“まるで隣で話しているような感覚”を届けることができる。これは本当に強力なツールなんです。
僕自身の体験
実際に僕も1年半以上、Podcastをやってきて、「毎日聴いてますよ」という声をいただくことが増えました。初対面でも「初めまして」じゃない感覚になる。距離感が縮まっているんです。
採用の現場でも、「Podcastを聴いて共感してエントリーしました」という声がありました。これはもう、マーケティングツール以上に、インナーブランディングの武器だと感じています。
経営者の皆さんへ
もし、社内に理念を届けたい、熱量の高い組織にしたいと感じているなら、4月からでもPodcastを始めてみてください。
社員のためだけに話してもいい。それをお客様や取引先が聞いても、「この社長はこう考えているんだ」と伝わる。それって、すごくいいことだと思うんです。
声は、文章よりも、動画よりも、人の心に届く力があります。