こんにちは、テルヤです。今日はヒアリングの具体的なテクニックについてお話しさせていただきます。前回のエピソード(AI時代のクライアントワークとは?ジョハリの窓と3つのヒアリング)では、ジョハリの窓というフレームワークを活用しつつ、三つの本質的な質問についてお話しました。今回は、そのヒアリングスキルをさらに深掘りしていきたいと思います。
この記事は2024年9月22日にポッドキャストにて配信した音声をベースに作成しております 。 Spotify Podcast では映像による解説 をご覧になられますので Spotify Podcast もご覧ください。
HubSpotのCRMにAIエージェントの機能が実装されました。今後 クラウドサービスを中心に AI エージェントが実装されてくることは間違いありません 。
そうなると今まで人がやっていたタスクを AI エージェントがこなすようになります。 我々人間はAIエージェントと共同で仕事することは当たり前になってきます。そうなると人間の役割は一体何なのか?ここについて深く考えていきたいと思います。
まず、ヒアリングの重要性について改めて強調したいと思います。AIがどんどん進化し、AIエージェントが仕事をするようになると、人間の役割は主にヒアリングになっていくのではないでしょうか。
実際、仕事を一緒にしていて「この人は仕事ができる」と感じる方は、必ずといっていいほどヒアリングが上手です。では、具体的に何が「上手い」のでしょうか?それを今日は掘り下げてお話ししていきます。
結論から申し上げますと、ヒアリングが上手い人の特徴は、オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの使い方が上手いことです。
まず、クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンの違いを簡単に説明しましょう。
クローズドクエスチョンは、一つのテーマを掘り下げるときに使います。基本的に相手に考えさせず、話の糸口をつかむときによく使用します。また、自分の仮説を検証するときにも効果的です。
例えば、「御社は人材育成にそれほど困っていないんですよね?」という質問は、クローズドクエスチョンです。これに対して「いえ、実は困っているんです」という回答が得られれば、そこから人材育成の課題について深掘りしていくことができます。
オープンクエスチョンは、テーマを他のテーマに広げたり、相手に気づきを与えたりするときに使います。潜在的なニーズを引き出すのにも効果的です。
例えば、「人材育成で具体的にどのような点で困っているのでしょうか?」という質問は、相手に自由に回答してもらえるオープンクエスチョンです。
効果的なヒアリングを行うには、これら二つの質問タイプを適切に組み合わせることが重要です。
例えば、
このように、クローズドとオープンを交互に使うことで、相手の話を深く理解し、潜在的なニーズも引き出すことができます。
ここで、ちょっとした営業の心理テクニックをご紹介します。商談の中で「イエス」を多く取れば取るほど、成約率が高まるという考え方があります。
例えば、
このように、相手に「イエス」と言ってもらう機会を増やすことで、最終的な「買いますか?」というクローズドクエスチョンに対しても「イエス」を引き出しやすくなります。
次に、より具体的な質問テクニックをいくつかご紹介します。
「もう少し具体的に言うと、どういうことでしょうか?」 「○○とは、どのような意味でしょうか?」
これらの質問は、相手の発言の詳細を引き出すのに効果的です。
「御社は人材育成にそれほど困っていないんですよね?」
これは一見クローズドクエスチョンですが、あえて否定形で聞くことで、相手に「いえ、実は困っているんです」と言わせる狙いがあります。
相手の回答に対して、さらに詳細を聞いていく質問です。
例
相手:「営業マンのスキルが低いんです」
あなた:「営業マンのスキルが低いというのは、具体的にどういった点が低いのでしょうか?」
相手:「クロージング率が悪いんです」
あなた:「なるほど。クロージング率が高い人と低い人では、何が違うのでしょうか?」
このように、一つの回答に対して何度も掘り下げていくことで、問題の本質に迫ることができます。
相手の回答から、別のテーマに展開していく質問です。
例
相手:「営業マンのスキルが低いんです」
あなた:「なるほど。営業マンのスキルが低いということは、教育制度はどのようになっていますか?」
このように、一つの問題から関連する別の問題へと話を広げていくことで、より包括的な理解が得られます。
それぞれの質問タイプには、以下のようなメリットとデメリットがあります。
メリット
デメリット
メリット
デメリット
これらのメリット・デメリットを理解した上で、状況に応じて適切に使い分けることが重要です。
効果的なヒアリングを行うための基本的な質問の枠組みとして、4W2H+Whyがあります。これは以下の要素から成り立っています。
これらの要素に基づいて質問を組み立てることで、包括的な情報収集が可能になります。特に重要なのは「Why(なぜ)」です。
相手の回答に対して「なぜそうなのか」を掘り下げていくことで、問題の本質や潜在的なニーズを明らかにすることができます。
具体例
Q: 「誰をターゲットにしているんですか?」
A: 「20代から30代の女性です」
Q: 「なぜその層をターゲットにしているんですか?」
A: 「最近、その年齢層の購買力が上がっているからです」
Q: 「なぜ購買力が上がっているんでしょうか?」
このように、「なぜ」を重ねていくことで、相手の思考や決定プロセスをより深く理解することができます。
否定疑問文は、相手の潜在的なニーズを引き出すのに効果的です。
例えば、
「御社は人材育成にそれほど困っていないんですよね?」
このような質問をすることで、相手が「いえ、実は困っているんです」と本音を話すきっかけを作ることができます。
また、相手が本当に困っていない場合でも、「そうですね」と答えるだけで会話を自然に進めることができます。
これらのヒアリングテクニックは、クライアントに対してだけでなく、自分自身に対しても有効です。
例えば、
このように自問自答することで、困難な状況でも冷静に対処する力が身につきます。
これらのテクニックを身につけるためには、日々の実践が重要です。以下のようなステップで取り組んでみてください。
また、ロールプレイングも効果的です。同僚や部下と模擬商談を行い、お互いにフィードバックを行うことで、スキルを磨くことができます。
最後に、AI時代における人間の役割について考えてみましょう。確かに、情報処理や分析においてAIの能力は人間を凌駕しつつあります。
人間にしかできない「共感」や「直感」を活かしたヒアリングは、むしろその重要性を増していくでしょう。
例えば、米国の調査会社ガートナーは、2030年までに、AIがカスタマーサービスの85%を担うようになると予測しています。
しかし、残りの15%は人間にしかできない複雑な対応が求められるとしています。この「人間にしかできない15%」こそが、高度なヒアリングスキルを持つ営業パーソンの活躍の場となるでしょう。
そのため、これからの営業パーソンは、単なる情報提供者ではなく、クライアントの真のニーズを引き出し、最適なソリューションを提案できる「ビジネスコンサルタント」としての役割が求められます。本日お話ししたヒアリングテクニックは、そのための重要なスキルとなるはずです。
まとめ
今日は、ヒアリングの具体的なテクニックについてお話しさせていただきました。ポイントをおさらいしましょう。
これらのテクニックを意識的に練習し、日々の営業活動に取り入れることで、きっと皆さんの営業力は飛躍的に向上するはずです。
AI時代だからこそ、人間にしかできない深いヒアリングの重要性は増していきます。クライアントの本質的なニーズを理解し、最適なソリューションを提案できる「真の営業プロフェッショナル」を目指して、一緒に頑張っていきましょう。
皆さんの営業力向上と成功を心からお祈りしています。今日はここまでです。ありがとうございました。
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