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AIレディーなリモートワーク組織の成功戦略

作成者: Hiroki Teruya|24/08/19 23:36

AI 導入が加速する企業はフルリモートワークの組織体制ではないかと感じています。コロナで一時期リモートワークテレワークが普及しましたが、アフターコロナではコロナ前と同じようにオフィス出勤に戻す企業が増えているように感じます。

BrandBuddyzでは創業以来フルリモートワークの組織体制にこだわっていますが、課題が多く山積みしています。その中で成功しているフルリモートワークの企業を調べたので共有したいと思います。

この記事は2024年8月20日にPodcast にて配信した音声をベースに作成しています。ポッドキャストも合わせてお聞きください。

 

フルリモートワークのグローバル企業

以下は、フルリモートで運営されているグローバル企業と、そのウェブサイト、採用ページ、およびリモートワークに関するガイドラインのリンクです。

  1. Automattic

    • ウェブサイト: Automattic
    • 採用ページ: Work With Us
    • リモートワークガイドライン: Automatticには、リモートワークに関する詳細なガイドラインが含まれているEmployee Field Guideがあります。このガイドは、オンボーディング、コミュニケーションの慣習、そしてAutomatticの信条(Automattic Creed)を含む、分散型の環境での働き方を強調しています​。

  2. GitLab

    • ウェブサイト: GitLab
    • 採用ページ: Careers at GitLab
    • リモートワークガイドライン: GitLabは、リモートワークに関する透明なアプローチで知られており、その詳細はRemote Work Guideに公開されています。このガイドは、コミュニケーションの基準やバーチャルチームのビルディングに関する情報を含んでいます。

  3. InVision

    • ウェブサイト: InVision
    • 採用ページ: Careers
    • リモートワークガイドライン: InVisionは完全リモートで運営されており、非同期コミュニケーションや柔軟な勤務時間に重きを置いています。リモートチームをサポートするためのリソースやツールが、採用ページや企業文化のページで詳述されています。

  4. Buffer

    • ウェブサイト: Buffer
    • 採用ページ: Join the Buffer Journey
    • リモートワークガイドライン: BufferにはRemote Work Guideがあり、分散型の仕事環境におけるアプローチ、使用するツール、会議の規範、そして仕事と生活のバランスを維持するためのヒントが記載されています。

  5. Zapier

    • ウェブサイト: Zapier
    • 採用ページ: Join us from anywhere
    • リモートワークガイドライン: ZapierのRemote Work Guideには、完全リモートの仕事環境でのベストプラクティスや、生産性を高めるためのヒントが含まれています。

これらの企業は、リモートワークの機会を提供しているだけでなく、分散型チームでの効果的なコラボレーションとコミュニケーションを確保するための包括的なガイドラインやリソースを提供しています。

日本でフルリモートが浸透しない理由とは?

以下のテーブルは、フルリモートワークが日本で成立しづらい理由と、成功しているグローバルなフルリモート企業の特徴を項目ごとに比較したものです。

項目 日本でのフルリモートが成立しづらい理由 成功しているグローバルフルリモート企業
文化・働き方の慣習 日本では対面でのコミュニケーションや会議が重視され、上司との直接のやり取りが重要視される。 AutomatticやGitLabなどは、非同期コミュニケーションを推進し、フレキシブルな働き方を支持している。
コミュニケーション手法 日本ではリアルタイムでのやり取りや直接的な指示が好まれる傾向がある。オンラインツールの活用が遅れている。 GitLabはドキュメント化された文化と透明性の高いコミュニケーションを実現している。
評価と信頼 上司が直接部下の働きを監視・評価する文化が根強く、リモートワークでは成果を評価しにくいという懸念がある。 BufferやZapierは、成果に基づいた評価を行い、透明性を確保している。
インフラと技術 インターネット環境やツールの利用が不十分な場合が多く、デジタル化が進んでいない企業も多い。 InVisionやZapierは、リモートワークに最適化されたツールとインフラを導入し、効率的な業務を支えている。
労働法・規制 日本の労働法や規制が、リモートワークを前提とした働き方に十分対応していない場合がある。 グローバル企業は、多様な労働環境に合わせた柔軟な契約形態や規制対応を行っている。
チームビルディング リアルな場での交流や一体感を重視する傾向が強く、リモートでは一体感が生まれにくいとされる。

Automatticは、定期的なグローバルミートアップやバーチャルイベントで、チーム間の結束を強めている。

 

詳細解説

  • 文化・働き方の慣習: 日本では伝統的に、対面でのコミュニケーションが重視されてきました。これは特に上司と部下の関係において顕著で、直接的な指導やフィードバックが期待されています。一方、グローバルフルリモート企業は、個人の裁量を重視し、非同期的な働き方を採用しているため、リモートでも効果的に業務を進められる環境が整っています。

  • コミュニケーション手法: 日本企業では、対面での会話や電話が好まれる傾向がありますが、これに比べて、成功しているリモート企業は、全ての情報をドキュメント化し、誰でもアクセスできるようにしていることが特徴です。特にGitLabのように、すべてのプロセスが透明化されていることで、距離に関係なくスムーズに業務が進行します。

  • 評価と信頼: 日本では、上司が部下を直接評価する文化が強いため、リモートワークにおいては評価の基準が曖昧になりがちです。これに対して、BufferやZapierのような企業は、成果を重視した評価システムを導入し、社員が透明性を持って働けるようにしています。

  • インフラと技術: 日本の中小企業では、デジタル化が進んでいないケースが多く、リモートワークに適したインフラが整っていないことが課題です。一方、InVisionやZapierは、リモートワークに最適なツールやインフラを採用し、業務効率を高めています。

  • 労働法・規制: 日本の労働法は、まだリモートワークに完全には対応しきれていない部分がありますが、グローバル企業は、国ごとの規制に適応した契約形態や労働環境を整備しています。

  • チームビルディング: 日本では、直接会うことでチームの結束を強めることが重視されるため、リモートワークでは一体感を保つのが難しいと感じることが多いです。しかし、Automatticのような企業は、バーチャルイベントやミートアップを活用して、リモートでもチームの結束を強化しています。

このように、日本の企業文化やインフラの課題がフルリモートワークの導入を妨げている一方で、グローバルな成功企業はこれらの課題を解決し、リモートワークを効果的に運営しています。

ハイコンテクスト vs. ローコンテクスト

 非同期コミュニケーションにおける重要性について日本語文化と海外の言語の文化の違いをもとに整理してみました。

1. ハイコンテクスト文化とは?

ハイコンテクスト文化とは、コミュニケーションにおいて多くの情報が文脈に依存している文化を指します。

日本はこの文化に属しており、暗黙の了解や非言語的なサインが重要な役割を果たしています。このため、言葉にされない部分に多くの意味が含まれており、言葉だけではなく、背景や関係性を理解することが求められます。

2. ローコンテクスト文化とは?

ローコンテクスト文化では、コミュニケーションは直接的であり、必要な情報は言葉として明確に表現されます。

アメリカやドイツなどがこの文化に属しており、コミュニケーションにおいて言葉が主要な情報源となります。相手がどのような背景や文脈を持っているかに関わらず、必要な情報は明確に伝達されるため、誤解が生じにくい特徴があります。

3. 非同期コミュニケーションにおけるローコンテクストの重要性

非同期コミュニケーションとは、リアルタイムで行われるのではなく、時間差を伴って行われるコミュニケーションのことです。

これには、メール、チャット、ドキュメント共有などが含まれます。このようなコミュニケーションスタイルでは、情報がリアルタイムで伝わらないため、誤解を避けるためにはメッセージが可能な限り明確である必要があります。

ローコンテクスト文化におけるコミュニケーションスタイルは、非同期コミュニケーションに非常に適しています。以下の理由から、ローコンテクストが好ましいとされています。

  • 明確さと正確さ: 非同期コミュニケーションでは、メッセージのやり取りが即座に行われないため、各メッセージが明確で正確であることが重要です。

    曖昧な表現や背景に依存したメッセージは、誤解を生む可能性があります。ローコンテクスト文化では、情報が明確に言語化されるため、非同期環境でも情報の伝達がスムーズに行えます。

  • 時間差による誤解の防止: 非同期コミュニケーションでは、メッセージの送信と受信の間に時間差が生じるため、相手がその場にいない状況でメッセージを解釈しなければなりません。

    この際、ローコンテクストなコミュニケーションでは、メッセージ自体に必要なすべての情報が含まれているため、誤解が生じにくくなります。

  • 文化的多様性に対応: グローバルなチームでは、さまざまな文化背景を持つ人々が一緒に働くため、コミュニケーションのスタイルにばらつきがあります。

    ローコンテクストなコミュニケーションは、異なる文化背景を持つ人々にも一貫したメッセージを伝えることができるため、文化的な違いによる誤解を最小限に抑えることができます。

4. ハイコンテクスト文化での課題

ハイコンテクスト文化においては、言葉にされない情報が重要であり、その文脈を理解するためには、相手の文化や背景を深く理解している必要があります。

非同期コミュニケーションでは、このような文脈を共有することが難しく、情報が曖昧になりやすいです。また、相手がその場にいないため、必要なフィードバックや追加の情報をその場で求めることができず、結果としてコミュニケーションが遅れるリスクがあります。

5. まとめ

ローコンテクストなコミュニケーションは、非同期コミュニケーションの場において、誤解を避け、効率的に情報を共有するために非常に有効です。

これに対し、ハイコンテクスト文化では、暗黙の理解が求められるため、非同期環境ではコミュニケーションが難しくなる可能性があります。

グローバルなチームで成功するためには、ローコンテクストなアプローチを採用し、誰にでも明確で理解しやすいメッセージを心掛けることが重要です。

BrandBuddyzでもフルリモートワークを円滑にすすめるため、海外企業の成功事例を学習しながら積極的に導入していこうと思います。