今日はUFOキャッチャーに隠されたビジネスモデルの魔力と、それを私たちの仕事や生活にどう応用できるかについて2024年11月4日に配信したポッドキャストで話した内容をブログとしてまとめました。
先日、家族でゲームセンターに行き、子供たちがUFOキャッチャーに挑戦したんです。特に下の娘は、どうしても取りたいぬいぐるみがあり、次々と100円を投入。
気がつけば合計で2000円も使ってしまいました。私も「次こそは」と一緒になって挑戦し続けたんですが、どうしても取れない。でも、諦めきれずについついお金を出してしまう…。そんな経験は多くの人にあると思います。
これは単なるゲームではなく、人の心理を巧みに利用したビジネスモデルの一つなのです。それでは、UFOキャッチャーがどうしてこれほどまでに人を引き付けるのか、5つの脳のメカニズムから見ていきましょう。
この記事は2024年11月4日に Podcast にて配信した音声をベースに作成しております 。 Podcast も合わせてお聞きください。
UFOキャッチャーでプレイするたびに「次こそ景品を取れるかも!」という期待が生まれます。この期待により、脳内でドーパミンという神経伝達物質が分泌されます。ドーパミンは、報酬を予測するシステムを活性化し、たとえ失敗しても「もう一回やれば成功するかも」という気持ちにさせます。過去に成功した経験がある場合、この期待はさらに強くなり、再挑戦を促す力が増幅します。
UFOキャッチャーのもう一つの心理的トリックは、景品が「あと少しで取れそう」と思わせる瞬間を演出することです。この「近接効果」によって、「あと少しだから!」という錯覚に陥り、つい追加でお金を投入してしまいます。実際に景品を掴んでアームが上がる瞬間や、落とし穴に引っかかるシーンはまさに「次は成功するかも」という期待を持たせ、追加投資を引き出します。
UFOキャッチャーには、ギャンブルと同じ「変動報酬スケジュール」が採用されています。これは、何度プレイすれば成功するかが不確定であるため、脳が「次こそは」と興奮しやすい仕組みです。この不確実な期待が興奮を呼び、さらに挑戦したくなるのです。
過去にUFOキャッチャーで成功した経験がある人は、その成功体験が脳に強く刻まれています。その記憶があると、「また成功できる」と感じやすくなり、再び挑戦したくなります。特に成功体験によって生まれるドーパミンは「自分ならできる」という自信を強化し、連続プレイを促します。
UFOキャッチャーには「他人に良いところを見せたい」という社会的な要素も絡んでいます。家族や友人が見ている前で成功することで得られる満足感が、さらに課金意欲を引き出すのです。また、隣の台で他の人が成功する姿を見たとき、「自分もできるかも」という気持ちが湧き上がり、つい挑戦してしまいます。これも、課金を促す大きな要素です。
UFOキャッチャーの仕組みは単なるゲームではなく、ビジネスにも応用できる心理トリックです。以下に、仕事に応用する方法の一部を紹介します。
たとえば、Webサイト制作やプロジェクトでクライアントが「次こそ成果が出るかも」という期待を抱くように設計すると、関心が持続しやすくなります。期待と報酬を適切に使うことで、サービスや商品に対する期待感を高めることができます。
「もう少しで達成できそう」という演出は、オンラインコースの学習促進にも効果的です。たとえば、達成度メーターを表示することで、あと少しでゴールに到達すると思わせることができ、継続的な学習意欲を引き出します。
オンライン広告やSNSマーケティングでも「変動報酬スケジュール」を応用することができます。たとえば、クーポンの配布やキャンペーンのタイミングを不規則にし、興味を引き続ける仕組みを作ることで、ユーザーのエンゲージメントを高められます。
顧客が成功体験を感じられる仕組みを提供することで、リピーターを増やすことができます。たとえば、Webサイトの改善で少しでも成果が上がった際にそれを強調し、顧客に「また同じような成功が得られる」という記憶を持ってもらうことが重要です。
特にSNSを活用したマーケティングでは、他者の成功例やレビューを見せることで、ユーザーに「自分も同じように成功できる」という期待感を与えられます。ユーザーにシェアしてもらいやすいコンテンツを作り、成功体験を広げることで、自然な宣伝効果も生まれます。
UFOキャッチャーに課金したくなる脳のメカニズムは、日常のビジネスや生活にも応用できる要素が多く含まれています。「期待と報酬」「近接効果」「不確実性」「成功体験」「社会的要素」といった心理トリックを意識的に使うことで、私たちのサービスや商品に対するユーザーの関心や満足度を高めることができるでしょう。