子どもの目線で世界を見てみたら、デザインのヒントがあふれていた話
先日、公園で遊んでいる子どもたちのそばにしゃがんでみたところ、まるで別世界のような景色が広がっていました。
アリの行進、草の根元の複雑な模様、落ち葉の中に隠れた色とりどりの小さな命たち…。普段、大人の目線からは見過ごしていたものが、こんなにも生き生きとそこに存在していたのです。
これはビジネスにも言えることではないでしょうか?
私たちは、つい「企業側の目線」で物事を捉えがちです。製品の機能、価格、競合との比較。しかし、本当に大切なのは「顧客の目線」に立って、自社の存在価値を見つめ直すことかもしれません。
「ジョブ理論」が教えてくれる、顧客の本音
ハーバード・ビジネス・スクールのクレイトン・クリステンセン教授が提唱した「ジョブ理論」では、顧客は商品を「買う」のではなく、「ジョブを成し遂げるために雇っている」と考えます。
つまり、顧客は自分の課題(ジョブ)を解決するために、製品やサービスを選んでいるのです。
V8野菜ジュースの事例
キャンベル社は当初、V8を「喉の渇きを癒す飲み物」として販売していました。しかし実際の消費者は、「野菜を手軽に摂取したい」というジョブを果たすためにV8を選んでいたのです。
この顧客視点への転換によって、V8の売上は4倍にもなったと言われています。
顧客の「ジョブ」を知るには?
顧客のジョブを理解するには、以下のような問いを立ててインタビューを行うことが効果的です。
- なぜその商品を選んだのか?
- どんな状況で必要だと感じたのか?
- 他に検討した商品はあったか?
- 過去にどんな不満があったか?
こうした問いを通して、表面的なニーズの奥にある「本質的な目的=ジョブ」にたどり着くことができます。
ジョブストーリーで可視化する
ジョブ理論では、ジョブを「ジョブストーリー」という形で表現します。
健康に気を遣う成人である顧客は、
忙しくて野菜を調理する時間がないときに、
飲み物の形で野菜を摂取することで、
手軽に栄養を取りたいと考えている。
このように、誰が、どんな状況で、何を目的として、何をしたいのかを明確にすることが、製品やWebサイトの改善につながります。
顧客理解を深める4つの視点
ジョブストーリーに加えて、以下の要素も押さえておきましょう。
- 機能的価値:ジョブ達成に必要な機能(例:「手軽に飲める」)
- 経済的価値:コストに対する合理性(例:他の野菜摂取手段と比較)
- 感情的価値:自己イメージの実現(例:「仕事ができる人」という印象)
- 社会的価値:他人からの見え方(例:「かっこ悪くない」パッケージ)
これらの要素が合わさって、顧客は「この製品(サービス)こそ、自分のジョブを解決してくれる」と感じるのです。
バイヤーペルソナとバイヤージャーニーで、顧客像をチームで共有する
ジョブが明確になったら、次はバイヤーペルソナの出番です。
バイヤーペルソナとは、理想の顧客像を具体的な人物像として定義したものです。名前や職業、年齢、課題、価値観などを設定し、まるで実在する人のように扱うことで、チーム内での共通理解を育てます。
さらに、顧客が商品やサービスに出会ってから購入に至るまでの道のりであるバイヤージャーニーも重要です。
バイヤージャーニーの3ステージ
- 認識ステージ:問題を感じはじめる(例:ホームページが古くて問い合わせが減ってきた)
- 検討ステージ:解決策を探す(例:Web制作会社を調べはじめる)
- 決定ステージ:最終的な選定(例:料金や実績を比較し、発注する)
Webサイトでは、ステージごとにコンテンツの役割が変わります。
ブログやチェックリスト、事例紹介などを通じて、顧客の気持ちに寄り添いながら導くことが大切です。
顧客の目線にしゃがんでみると、見えてくるものがある
子どもの目線にしゃがんで世界を眺めたときに、小さな発見がいくつもあったように、ビジネスでも「顧客の目線」に立ってみると、多くのヒントが見つかります。
Webサイトもまた、ただ情報を並べるだけでなく、顧客のジョブを達成する「ツール」として設計することが、これからの時代に求められる在り方です。
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