最近、「AI経営って何なのか」とよく考えているんですけども、これからはAIを活用した経営が当たり前になってくると思われます。じゃあ、AI経営とは一体何なのか。今日はこのテーマについて、僕の考えを皆さんと共有したいと思います。
この記事は2024年9月12日にポッドキャストに行って配信した音声を記事化したものになります。ポッドキャストも合わせてお聞きください。
AIが普及する中で、僕が思うに、AI経営の本質は「人でしかできないこと」を追求することにあるんじゃないかなと考えています。
今まで人間がやっていたことの多くが、これからはAIに置き換わっていくでしょう。例えば、中間管理職はおそらくいなくなって、トップの経営者とプレイヤーだけになり、マネジメントはAI上司に変わるんじゃないかと予想しています。
そうなると、今まで人間がやっていたことがAIに置き換わる中で、「人間にしかできないことは一体何なのか」という問いが重要になってきます。ここにリソースを配分するかどうかが、今後の経営者のAI経営のあり方を決めるんじゃないでしょうか。
具体的に考えてみましょう。今までどんな業務が人間の手で行われてきて、それがどうAIに置き換わっていくのか?
- 事務作業: 今まで「この事務作業やっといて」と女性社員にお願いしていた作業。これからはAIがこなすようになります。
- 電話対応: 新人に任せていた電話応対。これからはAI電話で対応できるようになるでしょう。
- 営業活動: お客様のところに直接訪問していた営業活動。今では移動せずにリアルタイムで動画を使って商談したり、メタバース空間でセールスしたりすることが可能になってきています。メタバース空間なら、相手が本物の人なのかAI営業マンなのか区別できません。
このように、オンラインとオフライン、リアルとバーチャルの境目が今後なくなってくると予想されます。そんな中で、私たち経営者が常に問い続けるべきなのは、「人間にしかできないことは一体何なのか」ということです。
では、人間にしかできないこととは具体的に何でしょうか?これは人それぞれ考え方があると思いますが、いくつか例を挙げてみましょう。
- 創造性と革新: AIは既存のデータを基に学習しますが、全く新しいアイデアを生み出すのは人間の領域です。
- 感情的知性: 顧客や従業員との深い感情的つながりを構築するのは、まだAIには難しい領域です。
- 倫理的判断: 複雑な状況下での倫理的判断や、会社の価値観に基づいた意思決定は人間にしかできません。
- 直感と経験則: 長年の経験から培われた直感や、数字には表れない「勘」は人間ならではのスキルです。
- 文脈理解と柔軟な対応: 予期せぬ状況や複雑な文脈を理解し、柔軟に対応するのは人間の強みです。
AI経営の時代において、経営者の役割はこれらの「人間にしかできない領域」を特定し、そこにリソースを集中させることだと考えています。つまり、AIができることはAIに任せ、人間はより高度で創造的な仕事に専念するという構図です。
ここで重要なのは、AI経営は単にAIを導入することではないということです。AIを活用しつつ、人間の能力を最大限に引き出し、両者のシナジーを生み出すことが本質なんです。
そのためには、以下のようなステップを踏むことをおすすめします。
- 自社の業務を徹底的に分析し、AIに任せられる領域を特定する
- 社員のスキルセットを見直し、AI時代に必要な能力を育成する
- 組織構造を再考し、より柔軟で創造的な働き方を可能にする
- AIと人間の協働を促進する文化を醸成する
- 常に「人間にしかできないこと」を問い続け、そこに注力する
AI経営の時代は、ある意味で人間性の真価が問われる時代だと言えるかもしれません。技術が進歩すればするほど、逆説的に人間らしさの価値が高まっていくのです。
私たち経営者の役割は、このパラダイムシフトの中で、人間の可能性を最大限に引き出し、AIとの共生を図りながら、新しい価値を創造していくことです。
AI経営は、単なる技術革新ではありません。それは、私たち人間が「人間らしさ」を再定義し、より高次の働き方や生き方を追求していく過程なのです。
さあ、皆さんの会社では、人間にしかできないことは何でしょうか?それを見つけ、育て、そして価値に変えていく。そんなAI経営の新時代に、一緒に挑戦していきましょう。