毎日パソコンの前で仕事をしていると、頭が疲れてきませんか? 僕はよく甘いものが欲しくなります。昨日も、沖縄県北中城村にある巨大ショッピングモール「イオンモール沖縄ライカム」の5階にあるコワーキングスペース「howlive」で仕事をしていると、やっぱり頭が疲れてきて…。スタッフと一緒に「ドーナツでも食べに行こう!」ということになりました。
エスカレーターを降りてすぐのところにドーナツ屋さんがあるので、そこでドーナツとコーヒーを買ったのですが、「さて、どこで食べようか?」となった時、ふと目に入ったのがリニューアルされたばかりの4階フードコートでした。
フードコートに現れた「座敷」との出会い
最近、ライカムの4階フードコートが改装されて新しくなったんです。どんな風に変わったのかな、と覗いてみると…なんと! 座敷ができていたんです。それも、畳が敷き詰められていて、よく見ると正方形で縁(へり)のない、いわゆる「琉球畳」スタイル 。
「ここで食べよう!」
思わずそう決めました。ドーナツじゃなくて、できれば団子とか和菓子が似合いそうな雰囲気でしたが(笑)、その畳スペースに腰を下ろし、ドーナツとコーヒーを片手に、スタッフとざっくばらんなおしゃべり、というか軽いディスカッションを始めたわけです。
でも、ふと思ったんです。なぜ、フードコートに畳なんだろう?
今日は、この素朴な疑問を深掘りして、イオンモール沖縄ライカムがフードコートに畳座敷を導入した理由を、私なりに考察してみたいと思います。
畳への個人的な愛着と、その文化的背景
ちなみに、あなたの家には畳はありますか? 僕は畳が好きなんです。実家には23畳の和室があって、今でもそこで布団を敷いて寝ています。まさに昭和的な生活ですが、畳のい草の香り、足触り、そして独特の機能性…本当に日本の文化って素晴らしいなと感じます。
少し余談ですが、畳の文化は平安時代頃に始まったと言われています。もともとはフローリングのような板の間に、必要な時にだけ敷いて使う「置き畳」が主流だったそうです。使い終わったら畳んで片付ける。だから「たたむ」から「畳」という名前がついたとか。今、フローリングの上に置くタイプの畳が流行っていますが、あれが元々のルーツに近いんですね。これは、以前クライアントだった畳屋さんから聞いた話です。
沖縄で畳の原料となる「い草」といえば、僕の地元うるま市の照間(てるま)が産地として知られていますが、近年は農家さんの高齢化や後継者不足で生産量が減り、国産い草、特に沖縄県産は貴重なものになりつつあります 。熊本県なども有名ですね。
ライカムの畳は「本物」の琉球畳? 素材の謎
さて、話をライカムのフードコートに戻しましょう。フードコートといえば、たくさんの人が食事をする場所。当然、食べ物や飲み物をこぼすリスクは高いですよね。そうなると、掃除のしやすさが重要です。カーペットや絨毯だとシミになったり、メンテナンスが大変だったりするので、普通はフローリングやタイルなど、手入れのしやすい床材を選びます。
では、ライカムの畳はどうなのか? クライアントに畳屋さんが2社いるおかげで、僕は一般の人より少しだけ畳に詳しいのですが、あのフードコートの畳、パッと見て、触ってみて、匂いを嗅いでみても、草の香りがしなかったんです。
「これは、自然素材じゃないな…」
本来、「琉球畳」というのは、沖縄で栽培されていた「七島藺(しちとうい)」という特別な植物を原料にした畳のことを指します 。この七島藺、い草よりもずっと丈夫で、断面が三角形なのが特徴 。昔は柔道場など、高い耐久性が求められる場所で使われていたほどです 。
しかし、この七島藺、実は現在、沖縄ではほとんど生産されておらず、主な産地は大分県国東半島なんです 。そして、生産量が少なく手間もかかるため、本物の七島藺を使った琉球畳は非常に高価で希少なものになっています 。
では、ライカムの畳は何なのか? おそらく、樹脂(ポリプロピレンなど)で作られた「琉球畳風」の畳でしょう。現代では、七島藺を使っていなくても、縁なし・正方形の畳を総称して「琉球畳」と呼ぶことが一般的になっています 。樹脂製であれば、ジュースやお菓子をこぼしてもサッと拭き取れるので、メンテナンス性は格段に向上します。フードコートという場所を考えれば、これは非常に合理的な選択と言えます。
なぜイオンモール沖縄ライカムは座敷を作ったのか? 多角的な考察
では、本題です。なぜ、イオンモール沖縄ライカムは、あえてフードコートにこの「琉球畳スタイル」の座敷エリアを設けたのでしょうか? いくつかの観点から考えてみましょう。
1. ライカムのコンセプトと戦略
まず、イオンモール沖縄ライカムがどのような施設なのか、そのコンセプトを見ていく必要があります。
- 「沖縄リゾートモール」コンセプト: ライカムは開業当初から「Okinawa Resort Mall」を基本コンセプトに掲げています 。単なる買い物施設ではなく、沖縄独自の文化や自然を感じられる、癒しと楽しみに満ちたリゾート体験を提供することを目指しています。5層吹き抜けのダイナミックな空間 、沖縄美ら海水族館監修の巨大水槽 、琉球石灰岩やシーサー、赤瓦といった地元のモチーフの活用 など、随所にその思想が現れています。
- 「ベストグローカル」戦略: 沖縄固有の「ローカル」な魅力と、国際的な「グローバル」な要素を融合させる戦略です 。地元ブランドと国内外の有名ブランドが共存し 、食文化も沖縄料理から世界各国の料理まで幅広く提供しています 。今回のリニューアルでも、沖縄初出店のグローバルブランドと地元で人気のチェーン店が新たに入っています。
- 「Sit & Relax」フィロソフィー: 訪れる人がゆったりとリラックスできる空間と、「おもてなし」の心を提供することを目指す考え方です 。館内の随所に休憩スペースを設け、誰もが快適に過ごせる環境を重視しています 。今回のリニューアルでの家具やレイアウトの刷新も、この理念に基づいています 。
これらのコンセプトを踏まえると、フードコートに「琉球畳スタイル」の座敷を導入することは、
- 沖縄の文化要素を取り入れることで「リゾートモール」としての独自性を高める。
- 地域文化の象徴(畳スタイル)を現代的な商業空間に融合させることで「ベストグローカル」を実践する。
- 靴を脱いでくつろげる空間を提供することで「Sit & Relax」を具現化する。 という、複数の戦略的目的と合致していると考えられます。
2. ターゲット顧客への配慮
僕は仕事柄、ライカムにはほぼ毎日いるので、人間観察をするのが癖になっています。平日は地元のお客さん、特にご年配の方々がおしゃべりを楽しんでいる姿をよく見かけます。週末になると家族連れや観光客が増えますね。ライカムの発表によると、年間来館者の7割強は沖縄県民(しまんちゅ)だそうです 。
つまり、ライカムは「地元客」と「観光客」の両方を満足させる必要があります。特にフードコートは、多様な人々が集まる場所。
ここで注目したいのが「ファミリー層」です。フードコートを利用するお客さんを見ていると、平日・週末、地元客・観光客問わず、圧倒的にファミリー層が多い印象です。特に、赤ちゃん連れの家族もよく見かけます。
僕自身も子どもたちが小さい頃、外食する際はまず「座敷があるかどうか」をチェックしていました。座敷があれば、赤ちゃんを安全に寝かせたり、ハイハイさせたりできる。親も少し楽な姿勢で食事ができます 。
ライカムのフードコートの畳座敷は、まさにこの小さな子ども連れ家族のニーズに応えるものなのではないでしょうか。実際に、ライカムの公式サイトを見ると、4階フードコート「ライカムグルメワールド」内には、子ども連れがくつろげる専用の「キッズスペース」が存在します。座敷の記述はまだなかったです。
靴を脱いで上がれる畳スペースは、子どもたちが安全に過ごせ、親も安心して休憩できる、非常に実用的な空間となります。
3. 観光客へのアピールと体験価値
もう一つの重要なターゲットは「観光客」です。沖縄を訪れる国内外の観光客にとって、その土地ならではの文化に触れることは旅の大きな魅力の一つです 。
フードコートの畳座敷は、彼らにとって「日本らしい」「沖縄らしい」文化を手軽に体験できる機会となります。特に、靴を脱いで畳の上に上がるという行為。
昨日、僕も実際にその座敷に上がってみて感じたのですが、まず「靴を脱ぐ」というワンアクションが入るだけで、気分が少し切り替わるんです。そして、丸い座布団に座ると、椅子に座るのとは違う、なんとも言えない落ち着きを感じました。
考えてみてください。広大なイオンモールの中を歩き回って、靴を脱ぐ瞬間って、他にあるでしょうか? おそらく、このフードコートの座敷くらいですよね。この「靴を脱ぐ」という非日常的な体験が、意外と強く記憶に残り、「ライカムで畳に座って休憩したね」という思い出になる可能性があります。
歩き疲れた観光客が、靴を脱いで畳の上でしばしリラックスする。これは、ライカムが目指す「Sit & Relax」 の提供であり、同時に「沖縄リゾートモール」 としてのブランド価値を高めることにも繋がるのではないでしょうか。
4. 空間デザインとしての効果
広大なフードコート の中に、畳という異なる素材・様式のエリアを設けることは、空間に視覚的な変化とリズムを生み出します。縁なしの正方形畳が整然と並ぶ様子は、モダンな和の雰囲気(和モダン) を演出し、フードコート全体のデザイン性を高める効果も期待できます。また、他のテーブル席エリアとは異なる、落ち着いた雰囲気のゾーンを作り出すことで、利用者に多様な居場所の選択肢を提供することにもなります。
まとめ:小さな変化に隠された、大きな意図
こうして考えてみると、イオンモール沖縄ライカムのフードコートに琉球畳スタイルの座敷が導入された理由は、単なる思いつきや奇抜なデザインではなく、
- 施設のコアコンセプト(リゾートモール、グローカル、Sit & Relax)との戦略的整合性
- 主要ターゲット(特にファミリー層)のニーズへの対応
- 観光客への文化体験の提供とブランド価値向上
- 空間デザインによる魅力向上とゾーニング効果
といった、複数の要因が複合的に絡み合った、非常に計算された判断であると言えそうです。素材として(おそらく)樹脂製を選んだ点も、メンテナンス性という現実的な課題 をクリアしつつ、「琉球畳」という文化的な響きやデザイン性を活用する、まさに「グローカル」なアプローチと言えるでしょう。
僕たちが普段何気なく過ごしている日常空間。その小さな変化に目を向けて、「なぜこうなっているんだろう?」と考えてみると、そこには作り手の様々な意図や戦略、そして利用者への想いが隠されていることに気づかされます。
ライカムで働く僕にとって、そこは「日常」の場所。でも、買い物や食事に訪れる多くの人にとっては「非日常」の場所です。その日常と非日常が交差する空間で、今回のような小さな発見から、社会や文化について思いを巡らせることができるのは、とても刺激的で面白いことだな、と改めて感じました。
次にあなたがショッピングモールや公共施設を訪れた時、少しだけ周りのデザインに目を向けてみてください。もしかしたら、面白い発見があるかもしれませんよ。
この記事は2025年4月16日に ポッドキャストにて配信した音声をベースに Google の生成 AI、Gemini(ジェミニ)を活用して作成したものになります。 記事によって トーンが異なりますが、実験的に記事をAIに生成させているためご了承ください。
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